宇宙の木
撮影で大きな木に会うことが多いです。
木のとなりに立つと不思議と落ち着きます。
木には、私たち人間がはかりしれない叡智が蓄積されていていて、
だから、木に会いにいくと、その叡智を少しだけわけてもらってるような、
言葉ではない何かで会話しているような、そんな気持ちになるのだと思います。
木に寄り添っていると、自然と涙が出るときがあります。
泣きやんで木を見上げると、そこに空があり、
その空の向こうには宇宙があるのだなあと思うと、
もしかすると木は、二酸化炭素を吸って酸素を生み出すのと同じように、
私たちの感情を吸い取って、空に、宇宙にときはなち、
奇麗なエネルギーにしてくれているのではないのかという思いになります。
木は上にばかりのびている訳ではありません。
土の下に根を張り巡らし、近くの木の根たちと折り重なって、微生物を育んでいます。
さらには、地中深くから水を吸い上げ、地面のすぐ下に豊かな水脈を保ちます。
地下水は、根から木の幹へ、下から上へとすいあげられ、枝葉をうるおし、
やがて酸素となり、空へと解き放たれます。
まさに、木は大地と空をつないでいるのですね。
雨の時も、風のときも、いつも静かに立ち、
ほかの生き物を受けとめ、抱き、育み、
人がつくった時間などとは関係なく、
宇宙のリズムとともに生きている木。
木はやっぱり神様のような存在だなあと思います。
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各地に移住し、それぞれの場所の環境の一部として絵を描き続けるFuuyaumのものがたり、
「くうのお絵かきepisode.2」にもそんな地球の長老のような木がでてきます。
Fuuyanmは木と向き合うとき、その木が小さな種だった頃から枝や根がどんどん伸びて
大きな木に成長するまでのすべてを感じると言います。
そうやって自然と向き合うなかで、「いのち」のエッセンスがFuuyanmの身体に入り込み、
Fuuyanm自身の一部となり、満ちて、絵となって飛び出してくるのです。
自然とよりそい一体となるFuuyanmの映像を通して、宇宙がかなでるリズムに身をゆだねる心地よさを感じていただければと思います。
episode.2 もうすぐリリースです。
文:KISANA LINES映像作家
写真:映像図書館 司書*写真家