マタリキ
今日はニュージーランド先住民マオリの人々の新年「マタリキ」です。
マタリキとはプレアデス星団のこと。
日本では「昴」として知られていますが、プレアデス星団は数百もの恒星が
集まってできている星団で、肉眼でも6つは確認できます。
そのプレアデスが夜明け前、ニュージーランドの東北の空に上がってくる日を
マオリの人々は新年として家族が集まってお祝いをします。
南半球のニュージーランドでは6月から7月にかけては冬の寒さが深まる時期で、
マタリキを祝う1週間は、亡くなった人の魂を尊び、送り出すのだそうです。
少し、日本のお盆にも近い感じでしょうか。
日本では24節気など太陽の位置によって季節を図りますが、
マオリの人々は星に寄り添って生活しているのですね。
星を道標に航海し、1000年ほど前、ニュージーランドに
たどり着いたマオリの人々にとって、
夜空の星々はまさに命綱のような存在だったのだと思います。
全くの私見ですが、私が旅した世界の中で、
空に一番近い場所だと感じたのがペルーの山岳地帯で、
宇宙に一番近いと思ったのが、ニュージーランドでした。
ニュージーランドの夜空を初めて見たときは、その星の数の多さに圧倒されました。
草むらに寝転がって星の瞬きに目を奪われていると、
自分が宇宙にいるのだとリアルに感じられます。
だから、私にとってニュージーランドは宇宙に一番近い場所なのです。
ニュージーランドの星が美しいのは、ニュージーランドの夜が暗いからです。
「星空保護区」という
国際ダークスカイ協会という機関が、暗く美しい夜空を保護・保存するために
2001年に制定した国際認定制度があります。
認定を受けるためには、屋外照明に関する厳格な基準をクリアすることや、
地域における光害に関する教育啓蒙活動が求められ、
現在では10万平方kmの夜空を保護してるそうです。
日本では、西表島や神津島、もちろん、ニュージーランドも保護区に入っています。
星空を保護区にするなんてロマンチックだなと思いましたが
逆にいうと、保護しなくてはなくなってしまう危険性があるからだと思うと
複雑な気もします。
日本はもうすぐ七夕。
少しでも広くて美しい星空を未来の子どもたちに残してあげられたらと思います。
文:KISANA LINES 映像作家
写真:森のカメラマン