あきのいろ

 

一雨ごとに深まる秋。

 

https://kisanalines.com/blog/wp-content/uploads/2014/11/01.jpg

 

幼いころ、樹々の紅葉を見るたびに
神様はなんて素敵な計らいをするのだろうと思っていました。

花は若い時に咲き誇り、歳をとったらしおれて散って行くのに、
木の葉は最後の最後に、こんなにもあでやかに、
華やかさをまとわせてもらえるなんて。。。

 

01

 

ただ、自らの命を焼き尽くすかのように燃え立つ
紅葉のあまりの美しさに、せつなさも感じ、
長い間、秋が苦手でした。

 

 

大人になると、秋の味わいが少しづつかわって来ました。

 

IMG_2458

 

山々を染め上げ、
燃え尽きるかのように葉っぱが散っても、
季節はめぐり、枯れた枝には新しい命が芽吹き、
命に終わりがないことを知ったのです。

哀しみは少しやわらぎました。

 

05

 

そして、さらに歳を重ねて気づいたことがあります。

 

色づく葉っぱのすべての色は、
宇宙の中でたった一度きりの色。

 

03

 

どの色も

きらめくような「生」を喜び、
「今」を輝く色なのだと。

 

 

そこには終わりもはじまりもない。

ただ満ち足りて ここにある。

 

 

IMG_2452

 

悲しくなくなりました。

 

命の「一瞬」に内包される「全てのみなもと」に
やっと目を向けることができるようになったからだと思います。

 

 

06

 

老いてゆくことは、
自分が豊かになる素晴らしい経験よと 言った
母の言葉が 理解できるようになってきました。

 

たしかに、日増しに生きている感覚が強くなり、

毎日、たくさんの発見があります。

 

そして、むかしむかし知っていたことを思い出せるようにもなりました。

 

 

新作の「あきのいろ」

秋の夜長に味わっていただければと思います。

次回リリースも間もなくを予定しています。

 

KISANA LINES映像作家

CATEGORY: お知らせ