森のカメラマン、海のカメラマン

 

今日は、KISANA LINES映像図書館を支えてくれている仲間たちのおはなし。

みんな、自分の職業をライフワークとし、それぞれ一線で活躍している人たちですが、

今回は、忙しい仕事の合間をぬって撮影に出てくれている二人のカメラマン

(本当はもう一人いるのですが、彼の話はまた追って)のことを書いてみようと思います。

 

まずは、森のカメラマン。
森のクマさんのような風貌で、一見おっとりとしているように見えますが、獲物(!?)を

逃がさないための用意は周到(撮影のための準備は万端で、集合時間の1時間前には

来て待っている)で、いつも撮影現場を支えてくれている頼れる人です。
暑い場所よりも涼しい場所を、海よりも山を好む傾向はありますが、基本、自然が大好き。
森の中に入ったら、野生動物のように黙々と草むらの中を歩き、葉っぱから落ちる雨粒や、森に満ちる光を、ただひたすら撮り続けます。

 

ウユニ塩湖3

 

一見、昔気質のようですが、新しい撮影法を取り入れることには柔軟で

タイムラプス(微速度撮影といって、定点カメラで流れる雲などを撮影する技法)で

星空や雲やお月さまなどを撮るのを趣味にしていたり(プロをつかまえて趣味とよんでは

いけないのですが、寝る間を惜しむその夢中度を見ていると「好き」にまさるものはない

んだな〜と思ってしまいます^^:)、最近は、新しい特殊撮影法に挑戦しているようで、

次は空のカメラマンになる!と豪語しています。

どんな映像を撮ってくれているのかは、近いうちにKISANA LINESの映像物語で

ご覧いただけることになると思います。

 

さて、そんな森のカメラマンと一緒に、これまでたくさんの森を撮影してきましたが
彼が話した言葉で印象に残っているものがあります。
朝一番に鳴く鳥たちを撮影するために森の中で夜明けを待っていたときのこと。

 

「ずっと動かんと(動かないで)、おんなじ(同じ)場所になごう(長く)座ってたら、

今まで見えへんかった(見えなかった)ものが見えてきますな〜<by京都弁^^>」

 

難しい理屈を言ったり、本で読んだ知識をひけらかすなんてことは決してせず、

スピリチュアルにもほど遠い実践肌の人なのですが、

ときどき、こういう深い一言をぽそっとつぶやくように言うのですよね。

 

アラスカ2

 

この森のカメラマンの言葉どおり、普段、見えない(と思っている)ものを映像に紡ぎ

とらえることがKISANA LINESの大きなテーマだと思っているので、

こうして淡々と光や水や空を追いかけ続けてくれる森のカメラマンには本当に感謝です。

 

 

続いては、海のカメラマン。

朝、「おはようございます」と言ってから、夕方「お疲れさまでした」と言うまで、

ほとんど何も話さない、寡黙なカメラマン。といっても、気難しかったりナイーブだったりというようなややこしい性格ではなく、いたって社交的で友達も多く、誰といてもにこにこ

しながら人の話に耳を傾け、意見を求められた時だけ言葉少なに話す温和なタイプ。

 

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でも、そんな彼がいったん海の中に入ると、これが別人のようになるのです。
それこそ、獲物(海の生き物)を追う機敏さは、まさに彼自身も海の生き物ではないかと思わせるほどで、縦横無尽に水中を駆け巡ります。
どうやら、そんな彼を仲間だと思うのか、被写体である海の生き物たちも逃げようとはせず、近づいて来てベストショットを撮らせてくれるようです。

彼とボートで海に出たときは必ずクジラやイルカが顔を見せてくれます(きっと、同じ波長を持っているのだと思うのですよね)。おかげで世界中の海で沢山のクジラたちを撮影することができました。

 

IMG_4655

 

さて、そんな水中カメラマンが発した数少ない(^^)言葉の中でよく覚えているのが、
「ぼくは自分で体験したものしか信じないんですよね」というフレーズ。
人の噂話などは真に受けず、自分が実際に会って感じたことだけを信じるという姿勢。
それは、撮影にも反映されていて、たとえば水中で奇麗な珊瑚のお花畑を見つけても、

彼はそのお花畑をただすんなり奇麗に撮るということはしません。

そのお花畑にはよく見ると沢山の生き物たちが住んでいます。
珊瑚にくっついた いそぎんちゃくにクマノミ(ニモのモデルになった魚)が顔を出してはひっこめたりしながら隠れていたり、時には珊瑚の岩の間に凶暴なウツボが潜んでいたり。
大小、強弱、関係なく、お花畑の住人たちはみんな一様に、海の中の流れに身をまかせ、

まるで風に揺られる木の葉のようにゆらゆら  たゆたいながらも、流されることなく自分の居場所を確保して生きています。
その同じ流れに自分自身をゆだね、彼らの生活を体感しながら撮影する水中カメラマンが

撮る映像にはいつも「奇麗」を超えた「命のきらめき」が映し出されています。

 

 

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森の木のようにグラウンディングする森のカメラマンと、

海の生き物のようにしなやかに調和する水中カメラマン。

この二人が撮ってくれた映像を紡ぎあわせた「Songlines/声ものがたり」の

「宇宙(そら)ごよみ〜森のかみさまと海のかみさまが結ばれて〜」。

次の物語がリリースされるまで、是非、もう一度、楽しんでいただけたらと思います。

 

KISANA LINES 映像作家

 

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