旅をすると、雲を上から見ることが多いです。

地上から雲を見ると、雲は空に浮いているように見えますが、上空から雲を見下ろすと、

雲は大地に属しているのがわかります。大いなる循環のもと、水分を蓄え、

必要に応じて大地に雨の恵みをもたらしてくれる水瓶(みずがめ)のような存在。

そう思って雲を見ると、とても愛おしく「ありがとう」と声をかけたくなります。

 

 

NZ no1

 

 

でも、雲は優しいだけではありません。

真っ黒に膨れあがったかと思うと、みるみるうちにあたりをすっぽり包み込み、

まるで怒りさえ感じる激しさで大地に雨をたたきつけ、時には、その雨が、

人間が作ったあらゆるものを押し流してしまうほどの破壊力を持つこともあります。

 

そんな時、昔の人々は、祈ったり、供え物をしたりして怒りを鎮めようとしました。

人間が大いなるものに生かされている存在だということを知っていたのだと思います。

今の人間に足りないのは、この「謙虚さ」なのだと、最近よく感じます。

人は謙虚になることで、自分たちの中に潜むエゴや欲が必要以上に自然を切り開いてる

(直接的にも間接的にも)ことや、自然の循環を狂わせてしまっているということに、

真摯に目を向けることができるのだと思います。そして、謙虚さを持つことが、

本来人間が持っているはずの「生命」としての「真の強さ」を呼び覚まし、

自然とともに上手に生きる術を思い出させてくれるのではないかと思うのです。

 

 

NZ no2

 

 

KISANA LINESでは、新しく「旅ものがたり」が始まりました。

先にリリースした「森ものがたり」と時を同じくしてニュージーランドで生まれた物語です。

 

一日に四季があると言われるぐらい、

めまぐるしく移り変わるニュージーランドの気候の中に身をおいていると、

自然を制したり、抗ったりする気持ちでは心地よく旅を続けることができません。

むしろ、身をまかせ、ゆだねる気持ちでいると、ある時、

自然はヴェールの下に隠された素晴らしい宝物をそっと見せてくれます。

私たちがどれほど幸せに満ちあふれた星に住んでいるのかを、自然が教えてくれるのです。

 

そんな気持ちを込めて「旅ものがたり」のカテゴリーを

「Happy Planet(ハッピープラネット)」と名付けました。

 

 

 

kumo

 

もうすぐ第2話がリリースされます。

 

カナダ上空より

KISANA LINES映像作家

 

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