心のいろ
もう長い間、映像制作していますが、
いつも心がけていることは
物語の背景にある目に見えないものを伝えることです。
「湿度や温度」、「香り」、「風」、、、
たとえば「湿度」は、葉っぱについた雫や、たれこめた雲で表現したり、
「風」なら、木々がさわさわそよぐ様子を撮影するなどして工夫を凝らします。
そんな中、一番大切にしているのが、
具体的に形で現すことができない「心」をいかに映像に宿らせるかということです。
同じカメラマンが同じ被写体を「心」を込めて撮った場合と、
「心」を動かさずにビジネスライクに撮った映像では圧倒的に迫力が違います。
これは、お料理などにもあてはまります。
同じ調理人が、同じ素材とレシピで作ったとしても、
「心」を込めた料理ととそうでない場合は「味」に差が出ます。
工場で機械的に量産されるセーターと、
お母さんが子どものために「心」を込めて作るセーターでは「暖かみ」が違います。
「心を込める」、その「心」の形や色は目に見えないけれど、
物質やものごとに具体的に影響を与えています。
つまり、「心」は「物理的に(質量のあるものとして)」存在しているのです。
心のこもったお料理の「ウマミ成分」の数値があがるとか、
心を込めて編まれたセーターを着た子どもの体温があがるなど、
具体的な数値で表されないと信用できないと思っているわれわれ現代人ですが、
実は、生まれながらに持っている感度、感覚で、
無意識に心のこもっているものを見分けています。
私たちは「見えないもの」を物理的にとらえる能力を日常的に使っているのです。
木や草花の「愛」、動物や魚や鳥たちの「愛」、昆虫や微生物の「愛」、
人間の恋人同士や子どもへの「愛」、
もし、愛情に色があって見ることができたなら、
さぞかし世界はカラフルだろうなと思います。
今、世の中は、見えるものに価値を置く社会から
見えないものを感じる社会へと大きくシフトしています。
これから、ますます人間本来の能力が大きく開花していく予感がして、
わくわくします。
KISANA LINESの物語も、見えない「心」や、
未来のこどもたちへの「愛情」をたくさん込めて制作しています。
「心」の純度を磨き、さらに輝く物語を未来に届けていきたいと思います。
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現在、同時進行で制作中の作品のうち
近日リリースするのは「くうのお絵かき」のepisdoe.3です。
旅するように全国各地で暮らしながら絵を描き続けるFuuyanm。
Fuuyanmは、ごはんを食べるように、まわりにあるすべての自然を身体の中にとりこんで
色を紡ぎだしています。
Fuuyanmの絵には、見えないけれど確実にそこに浮遊している「いろ(くう)」が、
まるで、呼吸するように軽やかに息づいています。
喜びにふるえるように踊っています。
そんなFuuyanmの中に「いろ(くう)」が芽生えたのは、ある南の島での暮らし。
再び訪れた島で、また新しい「いろ」の「いのち」が生まれる物語です。
美しいものたちの「心のいろ」
が伝わりますように。
文*KISANA LINES映像作家
写真*森のカメラマン
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