覚え書き

 

 

2021年3月11日。

 

 

「あれから10年、痛みを忘れずに、、、」

というキャッチコピーがよく目につくここ毎日でした。

 

家族を奪われ、家や住む場所を失い、変わることを余儀なくされた人にとって、

「忘れないで」という言葉はどのように感じるのでしょうか。

10年経ち、やっとの思いで悲しみからの一歩を踏み出せた人も多いでしょう。

そんな方達にとってみれば、「忘れないで」と言われるまでもなく、

今も、忘れたくても忘れられない大きな痛みなのだと思います。

(少しでも、その痛みに寄り添えればと心から願います。)

 

 

 

 

では、「忘れないで」いなくてはいけないのは誰なのか、

それは、痛んでいないほうの人たちだと思います。

 

そして、痛んでいない人に向けることばは「忘れないで」ではなく、

「まずは、知って欲しい」です。

 

 

 

 

まだ原子力発電所は、動いているものも、止まっているものも合わせて

全国に19箇所も立っています。

全てが海沿いに建てられ、冷却水は海に放出され続けています。

海の生き物たちは、否応なく、今この瞬間にもその水を飲み続けています。

今なお、危険な場所で仕事をしたり、暮らしている、人やほかの生き物も

たくさんいることを、まずは知って欲しいと思います。

 

 

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今日、自分の人生におけるこの10年のことを振り返り、

見つめ直す時間を持たれている人も多くおられると思います。

 

 

 

 

KISANA LINESを応援してくださってる方々の中には、都会から地方に移住し、環境に調和した新しい生き方を選んだ人も多いかと思います。

 

自分たちの食べ物を自給できるところまできてる人にとっては、努力の甲斐があった10年だったと思います。

 

 

 

 

この10年で地元のご年配の方たちと良い関係が築けた人もいらっしゃるでしょう。

 

より自分にあった職場や仕事を見つけ、愛する家族やまわりの人々に喜びを与える

生き方にシフトされた方もいるでしょう。

 

 

そんな人たちも、今一度、今日は自分自身の生き方について見つめ直してみませんか。

 

 

いつしか、最初の思いの「自然との調和」より、「快適」な方へと暮らしが流されていないでしょうか。

次々と生み出されるテクノロジーに翻弄され、周りの環境を見つめる時間が減ってはいないでしょうか。

 

 

 

 

都会に住む人にとっては、いまは違う苦境が人生に押し寄せているかもしれません。

毎日の暮らしに精一杯で、自分が自然の一部であることすら、忘れてしまっている人も多いと思います。

 

 

どんな環境にいる人にとっても、よく目をこらすと、今、社会にあるすべての問題は、実は全て同じ根っこからきていることに気付かされます。

 

 

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「根っこ」自体を引っこ抜くのは個人の力では、なかなか容易いことではないでしょう。

 

ただ、我々にできることがあります。

 

それは、とにかく「目を向ける」こと。

 

まわりの何かや、ましてや自分を責めるのではなく、

 

問題に「まなざし」を注ぎ続けること。「感じ続けること」。

 

そうしていると、必ず、「見えてくるもの」があります。

 

 

 

 

見えれば、見えたものを「表現する」ことが私たちにはできます。

それぞれの立ち位置で、それぞれが得意なことで、できることが

必ず見つかると思います。

 

 

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年末、どれだけ一生懸命に大掃除をしても、1週間もすれば、自然と埃は積もるし、窓ガラスは曇ります。

綺麗さを保とうと思うと、こまめにに掃除をし続ける必要があります。

 

修行をして「覚醒した」と思っているお坊さんでも、覚醒しているためには、修行し続けていないといけないといいます。

 

それと同じで、自分の心の中や生き方もいつも注意していないと、やっぱり汚れたり、散らかったり、曇ったりするのだと思います。

 

 

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今日、10年前の「志」を思い出した人も、思い出したからOKなのではなく、その「志」をどうか日々、磨き続けていただければと思います。

 

これは、自分への覚え書きとして、今日、ここに書いておこうと思います。

 

 

 

 

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これから、本格的な春が始まります。

色々なものが暖かさに緩み始めます。

希望が見える季節でもあります。

 

でも、そんな時だからこそ、今年は少し、心を引き締めて、

自分の感覚に敏感でいたいなと思っています。

 

 

 

 

 

10年前の今日、KISANA LINESの骨格ができました。

見守っていただいていることに感謝を込めて。

 

 

文:KISANA LINES 映像作家

写真:かれん、Chris

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