これまでバリ、チベット、ネパール、インド、ヨーロッパなどを旅し、そこで出会った人々のポートレートを描いて来た画家 下田昌克が、今回訪れたのはニュージーランド。
南半球は初めてという彼が、旅のスタート地点に選んだのは南島の最南端地点。１日に四季があるというニュージーランドの厳しくもドラマチックな気候の中、どうしても会いたかったある生き物を探す。

無事にペンギンに遭遇したものの、近寄ってはいけないと感じた下田さんは遠くからペンギンを見守る。毎年、同じ巣に戻り、オスとメスが２日交代で卵を温めるペンギン。
カップルと思われる２羽が交わす愛情のある挨拶。
太古の昔から変わらず続いて来た営みに魅了されつつ、スケッチブックに向かう下田さん。ニュージーランドの旅、最初のポートレートが完成する。

地球がめぐり、空に新しい光が生まれる朝。
響き合う色に誘われるように海へ出てみると、そこは生き物たちのパラダイス。イルカとサーファーが同じ波に乗り、子どもが走るビーチに、うわさのアイツまでが遊びにやってきた。大きな身体いっぱいに好奇心を表わしながら、近づいて来るアイツ。ここはみんなの星さ。一緒に遊ぼう！

ニュージーランドの森を歩く。
ひんやりした湿気が充満し、
苔むした木々に雨のしずくが光る。
鳥の声に驚き、植物のかたちに目をみはり、
滝の水しぶきにわくわくする。
光合成さえも自然が奏でる芸術の一環。
森羅万象はなんて完璧な美しさなのだろう。